ビデオカメラとSDカードの「フォーマット」の違い|データ復旧
ビデオカメラを購入したばかりの人や、これからビデオカメラを使いたいという方の中にはSDカードについてお悩みの方も多いのではないでしょうか。そもそもSDカードがなぜ必要なのかや、ビデオカメラとSDカードの関係から見ていきましょう。
SDカードの機能
ビデオカメラに内蔵されているメモリはあまり大きな容量ではないのでしっかりと保存するためには別の記憶装置が必要となります。多く場合に使用されているのがSDカードです。デジタルカメラが普及する前であればビデオテープなどに記録していましたが、現在の主流はみなさまご存じのデジタルビデオカメラなのでSDカードに保存するので欠かせません。
SDカードの種類
SDカードは容量によって2GBまでのSDカード・32GBまでのSDHCカード・64GB以上のSDXCカードなどの種類がありますが、これら全てを総称してSDカードと呼ぶことがほとんどです。使用可能なSDカードはビデオカメラの機種によって異なりますが、SDXC対応機器であればSDHCカードもSDカードも対応しているといった様に、上位のものに対応していれば下位のものにも対応していると考えて良いでしょう。
SDカードの規格 | 最大容量 | 最大転送速度 | 特記事項 |
---|---|---|---|
SD | 2GB | 25MB/s | 初期のSDカード規格。現在はあまり使用されていない。 |
SDHC | 32GB | 25MB/s | High Capacityの略。2GBを超える容量のSDカード。FAT32ファイルシステムを使用する。 |
SDXC | 2TB | 104MB/s | eXtended Capacityの略。32GBを超える容量のSDカード。exFATファイルシステムを使用する。 |
SDUC | 128TB | 最大624MB/s | Ultra Capacityの略。SDXCの後継規格で、非常に大容量のSDカード。UHS-I、UHS-II、UHS-IIIバス速度をサポート。 |
SDIO | – | – | SD入出力カード。SDカードのスロットを使用して無線LANやBluetooth、カメラなどの機能を追加するための拡張カード。 |
規格によって性能・価格が異なる
SDカード自体に容量が記載されているので、それだけが目に入ってきますが、転送速度やスピードクラスなどといったものもありそれらのスペックによって価格なども大きく変わります。
購入したてのSDカードに映像が保存できない
家電量販店などでSDカードを購入してビデオカメラに搭載したのに、映像が保存できないことがあります。これはSDカードの初期不良などもありますが、SDカードのフォーマットが利用する製品とあっていないときに発生します。フォーマットとは型とか形式という意味のある言葉ですが、SDカードやデジタルデバイスにおいてさまざまな意味を持ちます。
フォーマット、とは?
メディアによってフォーマットが異なりますので、ビデオカメラとSDカードに分けてここではご紹介します。
ビデオカメラのフォーマット形式
ビデオカメラは、動画を撮影するために使用されるデバイスです。一般的なビデオカメラには、撮影素材を記録するための内部ストレージやメモリカードスロットが備わっています。主なフォーマットとしては、以下のようなものがあります。
AVCHD(Advanced Video Coding High Definition)
AVCHDは、高解像度のビデオを効率的に圧縮するためのフォーマットです。この形式は、一般的なビデオカメラで広く使用されており、一般的にはSDカードにビデオを記録します。
MPEG-4
MPEG-4は、一般的なビデオフォーマットであり、高品質なビデオを低ビットレートで圧縮することができます。ビデオカメラの一部モデルは、MPEG-4形式でビデオを記録します。
XAVC(eXtensible Application Format)
XAVCは、ソニーが開発した高解像度のビデオを記録するためのフォーマットです。この形式は、一部のプロフェッショナルなビデオカメラで使用され、高品質な映像を提供します。
SDカードのフォーマット形式
フォーマット方式は、SDカードの容量や使用環境、デバイスの互換性などによって選択されます。一般的には、小容量のSDカード(32GB以下)ではFAT32が推奨され、大容量のSDカード(32GB以上)ではexFATがより適しています。ただし、使用するデバイスの要件や互換性に応じて適切なフォーマット方式を選択する必要があります。基本的にSDカードのフォーマットは2種類です。exFATがFAT32の進化系という理解をしていただいても良いです。
FAT32(File Allocation Table 32)
FAT32は、最も一般的なSDカードのフォーマット方式です。ほとんどのデバイスで利用可能であり、クロスプラットフォームの互換性が高いです。FAT32は、最大ファイルサイズが4GBに制限されるという制約がありますが、SDカードの容量が32GB以下の場合には広く利用されています。
exFAT(Extended File Allocation Table)
exFATは、FAT32の制約を克服するために開発されたフォーマット方式です。exFATは、大容量のファイル(4GB以上)をサポートし、32GB以上の容量を持つSDカードに適しています。また、Windows、Mac、Linuxなどのさまざまなオペレーティングシステムで利用できます。
フォーマットをする、とは?
SDカードにおけるフォーマットとは、ビデオカメラなど使用する機械で採用している保存形式に合わせて使用できる状態にするために、初期化するということです。ただし、例えばexFATからexFATへのフォーマットをすることで初期化をすることもできるので、必ずしもフォーマットを変えることではありません。そのため、初期化をするためにフォーマットをすることもあります。
ファイルシステムの作成
フォーマットによって、デバイスやメディアにファイルシステムが作成されます。ファイルシステムは、データを格納し、整理するための仕組みです。一般的なファイルシステムには、FAT32、exFATなどがあります。
エラーの修正
フォーマットは、デバイスやメディアに存在する可能性のあるエラーや不良セクタを修正する場合があります。これにより、デバイスやメディアのパフォーマンスが向上し、安定した動作が期待できます。
データの削除
フォーマットは、デバイスやメディア上の既存のデータを完全に削除します。これにより、デバイスやメディアを初期状態に戻すことができます。データの削除は不可逆的な操作であり、一度フォーマットすると元のデータを復元することは難しくなります。これが多くの方が利用するフォーマットという表現にもっとも近いです。
削除データの復元方法
削除データの復元方法はこのページをご覧になっている方で将来的にトラブルにあったときに役立つのがデータ復元ソフトの存在です。無料版でお試しすることもできるソフトもありますが、吟味しなければ復元することができなくなってしまいます。有償の復元ソフトでデータ回復できない場合でも専門家は存在しますので、ご相談なさっても良いかもしれません。特にあまり詳しくなく、慣れていない方は子育て、運動会の撮影データを保存している場合には取返しのつかない事態に発展することもあります。データ喪失をしないためにも関連ページをご紹介させていただきます。
【関連】【データ復旧サービス】とデータ復元ソフトを比較
フォーマットしないと使えない場合
SDカードは携帯電話やスマートフォンといった別の端末でも使用することが出来ますが、それらの別端末で使用していた場合やフォーマットされていないSDカードを購入してきた場合にはフォーマットをしないと使用することが出来ないのです。SDカードメーカーによって初期のフォーマットが異なります。また、フォーマットの定義自体も各社によって異なります。
フォーマットする方法
ビデオカメラでフォーマットする方法は、メーカーのみならず型番などによっても違いがありますが、SDカードをビデオカメラ本体に搭載してメニュー画面からフォーマットや初期化などの操作を行うことで可能となります。ビデオカメラの説明書には必ずフォーマットの方法が記載されているので、初めての場合や分からない場合には必ず説明書を確認しましょう。
SDカードのフォーマット手順
①SDカードをパソコンに接続します。
SDカードスロットがない場合は、USB接続のSDカードリーダーを使用します。
②パソコンでSDカードを認識させます。
Windowsでは、自動的にドライブとして認識される場合があります。Macでは、Finderに表示される場合があります。
③SDカードのデータをバックアップします。
フォーマットすると、SDカード内のデータは完全に削除されるため、重要なデータのバックアップが必要です。
④フォーマットツールを使用してSDカードをフォーマットします。
Windowsでは、デフォルトのファイルエクスプローラを使用するか、Disk Managementというユーティリティを利用できます。Macでは、ディスクユーティリティというユーティリティが搭載されています。
⑤フォーマットオプションを選択します。
一般的には、FAT32またはexFATというファイルシステムがSDカードに適しています。FAT32は最も一般的なフォーマットオプションであり、exFATは大容量のファイルをサポートしています。
⑥フォーマットを開始
選択したフォーマットオプションを適用し、SDカードをフォーマットします。このプロセスは数秒から数分かかる場合があります。
⑦フォーマット完了後
SDカードを安全に取り外します。Windowsでは、タスクバーの通知領域から「安全な取り外し」オプションを選択し、Macでは、FinderでSDカードを右クリックして「取り出す」を選択します。
フォーマットをする際の注意点
特にその際の注意点としては、フォーマットをするとそれまで保存してあったデータが全て消去されてしまうということです。残しておきたいデータなどは事前に別の所に必ずコピーしておくようにしましょう。新たにSDカードを購入した場合はデータが消えてしまう危険はありませんし、現在はほとんどのカードがフォーマット済みで販売されているので購入してすぐに使用することが可能です。
SDカードの選び方
SDカードの選び方ですが、まずどのような用途で使用するのかによります。ビデオカメラで撮影するということは動画になりますが、動画と言ってもフルHDや4Kなど画質によって動画のデータサイズは大きく変わります。ここではフルHDで撮影すると仮定して考えていきましょう。容量は16GBで2時間30分、32GBで5時間程度が目安となりますので、故障や紛失のことを考えると32GB程度のものを複数枚所有していれば安心ではないでしょうか。
転送速度
容量はそれぞれの考え方でいいですが、重要なのは転送速度です。転送速度とはSDカードに書き込むスピードや読み込むスピードのことで、書き込みの転送速度が遅いと撮影中のエラーやノイズなどの原因になります。高画質な動画を撮影する上では最低でもクラス10(最低速度10MB/s)のもので、最大転送速度が60MB/s程度のものは欲しいところです。
途中停止が発生するなどのリスクも
最大転送速度が30MB/s程度のものもありますが、高画質なものなどの場合途中停止が発生するなどのリスクが高まりますので、60MB/sや60MB/sのものが安心です。読み込みスピードは好みですが、スピードが速い方がパソコンなどに読み込む際に快適に作業できるので良いでしょう。
おすすめのSDカード
では、ビデオカメラを使用する際のおすすめのSDカードです。
SANDISK「SDSDXXG-032G-GN4IN」
まずはSANDISKの「SDSDXXG-032G-GN4IN」です。SDカードの開発元で、カメラメーカーなどもまずはSANDISKのSDカードなどで動作チェックを行うとも言われています。このSDカードはクラス10で最大90MB/sの書き込み速度なので機能的には十分ですし価格も2500円前後とリーズナブルです。
トランセンド「TS32GUSDU3」
トランセンドの「TS32GUSDU3」もリーズナブルな価格でありながら、最大95MB/sの読み込みと85MB/sの書込みが可能なSDカードで、MLCチップで耐久性が高く無期限保証が付いています。
まとめ
フォーマットは、新たに購入したデバイスやメディアを初期化する場合や、問題が発生した場合に行われることが一般的です。ただし、フォーマットによってデータが完全に削除されるため、重要なデータが含まれている場合は注意が必要です。データのバックアップを行った上で、慎重にフォーマットを実行することをお勧めします。せっかくビデオカメラとSDカードを揃えたのに、使えない、という事態を解決できればうれしいです。
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