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リチウムイオン電池の発火・劣化等のバッテリーの構造

リチウムイオン電池の発火・劣化等のバッテリーの構造

リチウムイオンバッテリーは、その進歩に伴いスマートフォンを軽量化かつ長時間稼働させる事を実現させてくれました。現在のスマートフォンが進歩した要因は、このリチウムイオンバッテリーの進化が大いに関与しています。もちろんたくさん利用したい人には十分ではないので、モバイルバッテリーが販売されていたりもしますが・・・実はとってもすごいんです!

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そんなリチウムイオンバッテリーの仕組みを知れば、バッテリー交換のタイミングやバッテリーの寿命を延ばす方法を知ることが出来ます。




リチウムイオンバッテリーを使うメリット

充電し繰り返し使えるバッテリーの事を一般的に二次電池と呼ばれております。二次電池には、今回テーマのリチウムイオンバッテリーを始め、ニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素電池等、様々な種類の二次電池があります。

現在ほぼ全てのスマートフォンにリチウムイオンバッテリーが搭載されております。しかし、なぜそれ程までに支持されているのでしょうか?その答えは、リチウムイオンが持つ特性にあります。リチウムイオンは元素記号で言うと3番目の記号になります。

元素記号は簡単に言うと軽い順に番号が割り振られて、リチウムは全ての金属のなかで一番軽い原子です。また、全ての金属の中で最も化学変化が起こりやすい原子でもあります。化学変化が起こりやすいと言うことは、発生できるエネルギーが多く、容積が限らせるスマートフォンのバッテリにおいて、発電量も重量も他の二次電池を凌駕しています。

その為、スマートフォンの様な軽量化とコンパクトなバッテリーが求められる媒体はリチウムイオンバッテリーが最適なのです。更にリチウムイオンバッテリーには大きなメリットがあります。一昔前の常識では、充電式バッテリーは全て使い切ってから満タンに充電する方法が一番電池を長持ちさせる方法だと言われてきました。

それは、充電式電池にはメモリー特性があり、浅い充電を繰り返すと蓄電量が減ってしまうと言う特性が存在したからです。しかし、この常識はリチウムイオンバッテリーには適応されません。リチウムイオンバッテリーにはメモリー特性は無く、いつどんなタイミングで充電しても、その容量は変化しなしのです。

また、自然放電も限りなくゼロに近い為、しばらく使っていなくても残量が減っていて電源が付かないなんて事は、起こりにくいバッテリーです。以上の事からも、スマートフォンにリチウムイオンバッテリーが選ばれる利用が分かります。

リチウムイオンバッテリーの仕組み

リチウムイオン電池の内部構造イラスト

全てのバッテリーは、電流を発生させる為にバッテリー内部で化学変化を起こし電子を移動させる必要があります。この仕組みは用いる素材によって異なりますが、他の二次電池と変わりません。リチウムイオンバッテリーも基本構造は同じで、陽極、陰極、電解質、セパレート板でバッテリーが完成します。

リチウムイオンバッテリーは、その名の通りリチウムイオンを使用します。

陽極

   コバルトやマンガン、鉄などの複合酸化物が使用され、リチウムイオンを吸蔵、貯蔵が多くできる物質を用いる事で発生電圧が高まります。

陰極

黒鉛などのリチウムイオン複合化合物を用います。

電解質

エチレンなどの有機電解液を用います。

セパレート板

ポリエチレン等を用います。

セパレート板には、リチウムイオンが通過出来る極小の穴が空いています。基本的に上記の素材でリチウムイオンバッテリー は完成です。ただし、これで発電は可能なのですが、このままでは携帯爆弾となってしまいます。その理由は、一先ず後回しにして充電と発電の仕組みから解説致します。

充電している時

リチウムイオンバッテリー を充電すると陽極内部に蓄えられていたリチウムイオンが電解液に溶け出し、セパレート板に空いた穴を通り陰極へ移動します。その反応に伴い、電子も繋がれた回路を通り陰極へと移ります。この現象によって、陽極と陰極間に電位差が生まれ充電されていきます。

放電している時

充電で生じた電位差がある為、放電回路が接続されると電位差を保つ為に今度は、陰極から陽極へと電子が移動を開始します。つまり、電流が発生いたします。その反応に伴い、陰極からリチウムイオンが電解液に溶け出し、セパレート板の穴を通過して陽極へと移動します。

これが充電と放電の原理です。では、先ほどこのままでは携帯爆弾になってしまうと述べましたが、その理由を解説致します。リチウムイオンは金属の中で最も化学変化を起こしやすい原子です。故に、バッテリーの大容量化を実現させてきました。

しかし、その化学変化が起こりやすいと言うメリットがデメリットにも繋がります。リチウムイオンバッテリー は水分があると、そこに含まれている酸素と激しく反応し、発火します。その反応が大きければ爆発してしまいます。その性質上、電解液にも水溶液の類が使えなく、可燃性の高い有機電解液を使用しなくてはいけません。

こんな事を聞くと、とんでもなく危険な気がしてきますね。実際にニュースでも、スマートフォンのバッテリーが発火して火事や怪我をしたと聞いたことがある方は多いと思います。粗悪なバッテリーや間違った使い方をしている場合、かなり危険性は高いことは間違いありません。

しかし、ご安心して下さい。

リチウムイオンバッテリー を正しく使えば、発火等の緊急事態を防ぐ高機能な制御装置が搭載されている為、基本的に全く心配は要りません。

制御機能

・充電容量に達した際に充電を止める

・充電容量が80%付近に達した場合、充電速度を緩める

・電流を一定に保つように制御する

いわゆる、過充電や過放電を未然に防ぐ機能がバッテリー内に内蔵されております。この機能が備わっている為に、私たちはリチウムイオンの持つメリットの恩恵を最大限に受け、安全に使えてます。




バッテリー劣化の仕組み

リチウムイオンバッテリーの特徴は、自然放電もせずにメモリー特性も無く繰り返し使える充電電池だと述べました。メモリー特性が無いので基本的に何回充電すると劣化するなどの目安は、余り意味を成しません。リチウムイオンバッテリー が劣化するのは、環境と使用頻度が大きく関与しています。

一応メーカーは5001000回の充電で交換目安としていますが、これもあくまで目安でしか無いでしょう。バッテリーが劣化すると、充電しても直ぐに電池が減ってしまいますよね。一体バッテリー 内は、どうなっているのでしょうか。一番の原因は電極に使用されている金属の変化です。

まず、陰極に用いられる黒鉛などは使用する毎に少しずつリチウムイオンを排出する量が減っていきます。その結果、電流の発生量も少なる為、発電量が減少します。今までは、この事が主なバッテリー劣化の原因だとされてきました。しかし、京都大学の研究チームが、X線を用いて劣化の様子を観察した結果。

劣化の原因は陽極に使用されている金属によるものが大きいと分かりました。

参照:リチウムイオン電池ナノ界面

陽極に使用されているニッケルなどの酸化合金は、金属表面に小さな穴が開いています。その穴がある事によって、陰極から移ってきたリチウムイオンを内部に貯蔵出来ます。しかし、この酸化合金は電解液に浸すと少しずつ、金属表面に皮膜を作り出し、リチウムイオンを吸排出する穴を埋めてしまいます。結果的にリチウムイオンの貯蔵量が減り、化学変化を起こす力が衰退します。

これらの現象がバッテリー劣化の正体です。主なメカニズムは以上ですが、この電極の劣化現象は温度が高いほど進行が進みます。金属劣化は環境によって左右される幅が大きいので、メーカーが指標している5001000回回程度の充電回数では劣化具合を測る事は難しいのです。

バッテリー交換のタイミング

では、リチウムイオンバッテリー を交換するタイミングはいつになるのでしょうか?先程の記述通り、リチウムイオンバッテリーの劣化を見極める事は非常に難しいです。本当に正確に劣化具合を知るには、一度中身を分解する方法もしくは、細かい放電曲線を計測できる特殊な装置が必要となります。

これらは一般的な方法とは言えないと思います。しかし、劣化の目安を知る事は可能です。

1.メーカーが指標としている充電寿命を確認

先程、メーカーの指標は当てにならないと言いましたが正確な劣化を知る事に関しては当てにならないと言う意味です。目安として利用するには有効だと考えられます。2017年時点で三洋電機を回収しリチウムイオンバッテリー の世界シェア1位のパナソニックは充電サイクル目安を1000回としております。

因みに世界シェア2位のサムスンは、目安の開示はしていません。この指標を目安にすると大体2年~3年程度と判断できます。しかしながら、同環境で充電と放電を繰り返すメーカー試験と皆さんが日常で使用する環境とは異なる場合が多く、実際には23年の理論期間より早く劣化を体感する方も多いでしょう。

2.バッテリー 計測アプリで計測する

グーグルプレイやアップルストアで、バッテリー を計測できるアプリが無料でダウンロードできます。それらのアプリをダウンロードして確認する事によってバッテリー の残量や劣化状況を確認する事が可能です。ただし、メーカー公式のアプリではなく、計測結果も必ず正しいと断言できない為、あくまで目安として確認する程度と言ったところでしょう。

アプリの信憑性が担保出来ないことから、アップルはバッテリー 計測系のアプリを嫌う傾向にあります。実際に以前と比べればバッテリー 計測アプリの数は減り、アプリで計測できる項目も限定されております。

3.現在の劣化具合を自らの体感で確かめる。

一番原始的でありますが、結局は今現在の端末に電池の持ちが悪いと感じているかが重要です。そこで、バッテリー 劣化による主な現象をご紹介します。

必ずしもバッテリー劣化が原因とは限りません。

・満充電しても数分後にバッテリ残量が急激に減る

・残量%表示が乱高下する

・充電しても満タンにならない

・充電ケーブルを抜くと電源が消える

・使用している際に突然電源が落ちる

・バッテリーが膨張している

バッテリーの膨張の放置は危険

特に最後のバッテリー膨張は、バッテリー内でリチウムイオンと酸素が予期せぬ化学反応を起こしています。放置しておくと発火、爆発の可能性が高いので早急に修理にお出しください。また、上記の症状はバッテリー内の電圧低下が引き起こしている可能性が高いです。この様な症状に当てはまる方は、バッテリーが低下している兆候の可能性がございますので、バッテリー交換を検討する事をお勧め致します。

電池の寿命を延ばすために

バッテリーの寿命を延ばす方法をご紹介致します。

・高温多湿を避ける

・充電しながらの使用を控える

・繋ぎっぱなしで放置しない

・残量10%以下はすぐに充電する

・全てバッテリーを使い切らない

5080%を維持する

以上の事を意識すればバッテリー寿命は延ばす事ができます。特に気をつける事はバッテリー の温度です。リチウムイオンバッテリー の仕組みでも述べた通り、高温状態は電極の劣化を早めてしまします。夏場に車に置きっ放しや充電しながらにの使用」は高温状態になるため、避けるべきです。

また、基本的に制御装置が内蔵されている為、特に意識する必要は無いが、過放電と過充電を避けるために充電完了後そのままにしたり、全て使い切ってしまわない様にする様に心掛けましょう。




まとめ

少量で大量なエネルギーを発生させ、バッテリー 寿命も長い事からスマートフォンの長時間のハイパフォーマンスを維持する事に大きく貢献しています。一方で発火や爆発が容易に起こる物質だと言う事を今回の記事でよく理解して、注意事項を意識して使用して頂ければ安全に長く使用できます。

また、併せまして、多くの方が悩むバッテリー 劣化タイミングの判断に活用して頂ければ幸いです。