HDDから聞こえる異音
パソコンの基礎知識
HDDの動作について
HDD(ハードディスクドライブ)は、磁気を利用してデータを記録する装置です。内部には数枚の円盤状の磁気ディスク(プラッタ)があり、これが毎分数千~数万回の速度で高速回転します。プラッタの上には磁気ヘッドが配置され、ヘッドはアクチュエータと呼ばれる機構によって正確に位置を調整し、プラッタ上の特定の位置にアクセスしてデータの読み書きを行います。
データの読み書きは、プラッタの表面にあるトラックとセクターに基づいて行われます。ヘッドはアクチュエータの動きで特定のトラック上を移動し、各セクターに記録されたビット情報を読み取り、電気信号に変換します。この一連のプロセスが高速かつ連続的に行われるため、大量のデータをスムーズにアクセスできるのがHDDの強みです。
HDDの内部にあるパーツが壊れてしまい、動作が正常になされず、異常音が出てしまっているのです。異音が出るとどのようになるのか、HDDの仕組みを含めてご紹介します。
2. HDDから異音がする原因
HDDから発する音には、通常の動作で生じる音と、異常の可能性がある音があります。例えば、「ジージー」や「カリカリ」という音は、HDDがデータを読み書きする際の通常音で、問題ありません。同様に、冷却ファンが動作する「ブーン」という音も正常です。
一方で、「カチカチ」「キュルキュル」といった音が聞こえる場合は注意が必要です。これらは、磁気ヘッドやモーターに不具合が発生し、データ損失や故障のリスクが高まっていることを示唆しています。
3. HDDから異音がする原因
HDDの異音には、さまざまな原因が考えられますが、主に次の二つのタイプに分けられます:
- 内部部品の異常
磁気ヘッドやプラッタの故障、部品の摩耗により、動作に異常が生じる場合です。例えば、磁気ヘッドが記録面に接触するなど、HDDの部品に物理的な損傷が生じている可能性があります。 - データ記録面やファームウェアの異常
セクター部分に異常が発生したり、ファームウェアが破損することで、磁気ヘッドが正常に動作しないケースです。このような場合、HDDが誤作動を起こし、データの読み書きに支障が出る可能性があります。
4. HDDから異音がする場合の対処方法
異音が聞こえた時点で、すぐにHDDの通電を止めることが重要です。異音が発生している場合は、通電を続けるとHDD内部の障害が悪化し、データの回復が困難になる恐れがあります。
異音が発生した際、「とりあえずバックアップを取ろう」や「データ復旧ソフトで復旧できるかも」と考えるかもしれませんが、故障が進行しているHDDにバックアップ操作を行うと、さらなる負荷がかかり、データの読み取り自体が不可能になる場合があります。異音がする場合は、自己判断で操作せずに速やかにデータ復旧会社に相談することが望ましいです。
5. HDDから異音がする場合に絶対にやってはいけないこと
異音がし始めたHDDは、ほとんどの場合内部で深刻な不具合が発生しています。原因が特定できない状態で無理に通電すると、磁気ヘッドやプラッタにさらに損傷を与え、データ復旧が不可能になるケースもあります。そのため、異音が発生したらまず通電を停止しましょう。
また、HDDを開封して修理を試みようとすることは絶対に避けてください。HDDは非常に精密な装置であり、ほこりや静電気によってデータが完全に失われるリスクがあります。修理には専門のクリーンルーム(クリーンベンチ)が必要ですので、開封せずにデータ復旧会社に任せるのが最善です。
6. 信頼できるデータ復旧会社を選ぶ重要性
異音が発生しているHDDのデータ復旧は、一般的に難易度が非常に高いとされています。安易に安価なサービスを選ぶのではなく、次のポイントに基づき信頼できるデータ復旧会社を選ぶことが大切です:
- 健全な運営方針:違法ダウンロードによるデータを扱わない、誇張した成功率を宣伝しない、成果報酬型の料金体系を採用しているか。
- 専門技術力の有無:中度以上の障害にも対応できる技術と設備を持っているか。
- 高品質の管理体制:国際規格に準じたサービスとマネジメント体制を提供しているか。
信頼できるデータ復旧会社を選ぶ際には、上記のような点に着目し、安全性と技術力を兼ね備えた会社をお選びになることをお勧めします。