SSD
記録メディア別解説
薄型PCの立役者であるSSDはデータストレージの主役として、圧倒的な読み書き速度と高い信頼性で注目を集めています。ただし、SSDにも製品寿命やトラブルに発展することがあり、万が一のトラブルに備えた知識がますます重要となっています。本記事では、SSDのデータ復旧における具体的な方法や注意点について、詳しくご紹介します。もしSSDに不具合が発生した際には、ぜひこちらの情報をお役立てください。
SSDについて
SSD(Solid State Drive)は、高速なデータ読み書きが可能なストレージデバイスです。HDD(Hard Disk Drive)と異なり、内部に可動部品を持たないため、衝撃や振動に強く、動作音もありません。その一方で、HDDよりも価格が高めで、データ復旧が難しいという特徴があります。
SSDの構造・仕組み
SSDの基本構造は、データを保存するNANDフラッシュメモリと、それを管理するコントローラーから成り立っています。NANDフラッシュメモリは電源が切れてもデータを保持できる不揮発性メモリで、データは小さなセルに保存されます。一方、コントローラーはデータの読み書きを指示したり、エラーの修正を行ったりと、SSDの性能や信頼性を支える重要な役割を果たしています。
SSDは動作の仕組みがHDDよりも複雑で、書き込みやデータの削除の方式が異なります。この構造上の違いから、SSDのデータ復旧には特別な技術が必要になることがあります。特に、NANDフラッシュメモリの書き込み回数には限度があり、過剰な使用や物理的な損傷が原因でデータがアクセス不能になるケースも少なくありません。また、セルが部分的に破損するとデータの一部が失われる可能性もあり、状況によっては復旧が極めて難しいことがあります。特にデータが消失するトラブルはよくある障害事例と言えます。
SDのデータ消失の原因について
SSDに保存されたデータが読み取れなくなったり消失してしまう原因は、大きく分けて以下の3つに分類されます。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
1. 論理的障害
SSDのデータ消失原因の中でも最も一般的とされるのが「論理的障害」です。これは、SSDに保存されているデータそのものが破損してしまった場合に発生します。
例えば、誤ってSSDをフォーマット(初期化)してしまったり、大切なデータを削除してしまった場合も、この論理的障害に該当します。また、OS(コンピュータ全体を管理する基本ソフトウェア)の不具合によって、SSD内のデータが破損してしまうことも原因の一つです。
2. 物理的障害
物理的障害は、記録メディア全般に共通するトラブルの原因ですが、SSDも例外ではありません。具体的には、パソコンやSSDを高い場所から落下させたり、水に濡らしてしまうことで物理的に破損するケースが挙げられます。
さらに、SSD特有の要因として「書き込み回数の上限」があります。SSDはフラッシュメモリを使用してデータの読み書きを行うため、書き込み可能な回数に限界があります。この書き込み上限を超えると、寿命を迎え、データが読み取れなくなる可能性があります。ただし、一般的な日常使用においては、この上限に達する前に他の要因でSSDを交換することが多いので、実際のところ、あまり心配する必要はありません。
3. ファームウェアの障害
SSD自体のハードウェアに問題がなくても、SSDの動作を管理するソフトウェアである「ファームウェア」に障害が発生することがあります。この場合、容量の認識が誤ったり、突然エラーメッセージが表示されたりと、正常なデータの読み書きができなくなることがあります。ファームウェアの問題はユーザーが気づきにくく、専門的な知識が必要な場合が多いのが特徴です。
SSDのデータ復旧の難易度・データの復元率
SSDはその高性能さと小型設計ゆえに、非常に精密で複雑な仕組みを持つストレージデバイスです。この特性から、データ復旧の難易度がHDDと比べて高いと言われています。一度データが読み取れなくなった場合、簡単な手順で復旧できることは少なく、専門的な技術と設備が必要です。
特に物理的な破損やファームウェアの障害が原因の場合、復旧作業には高度な専門技術が求められるため、個人での対応はリスクが高く推奨されません。SSDのトラブルが発生した際は、状況を悪化させないためにも、早めに信頼できるデータ復旧の専門業者に相談することが重要です。
SSDの利便性を十分に活用するためには、その特性やリスクを理解し、適切な扱いを心がけることが必要です。万が一のデータ消失時には、無理な復旧を試みず、プロの手に委ねることを検討しましょう。
データ復旧の方法
SSDのデータ復旧方法には、主に次の2つの選択肢があります。
- 復元ソフトを利用して自分で対応する方法
- データ復旧業者に依頼する方法
本記事では、復元ソフトを利用した際の具体的な対応方法やリスク、さらに業者に依頼した場合の復旧率との違いについて詳しく解説します。
復元ソフトを利用して自分でデータを復旧する
復元ソフトを活用する最大のメリットは、コストを抑えられる点にあります。
無料で利用できる復元ソフトも多く、有料版を選んだ場合でも、一般的には業者に依頼するよりも低コストで済むことがほとんどです。適切に使用すれば、データ復旧にかかる費用を大幅に削減できるでしょう。
ただし、復元ソフトには対応できる範囲が限られている点に注意が必要です。
例えば、SSDが物理的に破損している場合や、動作が複雑なSSD特有の問題に直面した場合、復元ソフトだけでは対応が難しいことがあります。加えて、HDDに比べてSSDの復旧は技術的に難易度が高く、ソフトでは解決できないケースも少なくありません。
結果として、復旧率の観点では、データ復旧業者に依頼する方が成功の可能性が高いのが一般的です。これらの点を十分理解した上で、復元ソフトを活用するようにしましょう。
復元ソフトの基本的な利用手順
- SSDに対応したデータ復元ソフトを準備する
- 対象のSSDをPCに接続する
- データ復元ソフトを起動し、復旧可能なファイルをスキャンする
- 復元したいファイルを選択して復旧を実行する
- 復元されたファイルを確認し、必要に応じて保存する
これらの手順を参考に、復元ソフトを活用したデータ復旧をお試しください。ただし、トラブルの状況(物理障害が発生している場合)は専門業者への依頼を推奨致します。
データ復旧の費用相場
SSDのデータ復旧にかかる料金の目安は33000円(税込)~です。
- 相場費用
- 約33,000円~
障害の種類 | 費用目安 |
---|---|
論理障害 | 約33,000円~ |
物理障害 | 約70,000円~ |
前述の通り、SSDはその構造が複雑なため、データ復旧の難易度が高く、結果として費用が高額になるケースが多いのが特徴です。
特に、容量の大きいSSDでは、データが保存されている範囲が広くなるため、難易度が高くなり、復旧作業の手間が増し、時間がかかります。さらに、一部の業者ではSSDの容量が一定以上の場合に復旧対応が難しいこともあるため、事前に確認が必要です。
こうした点から、SSDのデータ復旧を依頼する際は、技術力の高い信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。適切な技術を持つ専門業者であれば、復旧の可能性を最大限に引き上げることが期待できます。
まとめ
SSDはその高速性能や静音性、省電力性などから広く利用されていますが、万が一のトラブルに備えてその特性を理解しておくことが重要です。不具合が発生した場合、自己流の対処がさらなる悪化を招くこともあるため、信頼できるデータ復旧サービスに相談することをおすすめします。SSD特有の構造や仕組みを熟知した専門家のサポートを受けることで、大切なデータを取り戻す可能性が高まります。