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データの削除・フォーマットについて

パソコンやスマートフォン、USBメモリ、SDカードなどの記録媒体をご利用の方で、必要なデータを誤って削除してしまったり、バックアップを取ったつもりでフォーマットしたが実際にはバックアップが取れておらず重要なデータが消えてしまったなどトラブルにあった方のコメントがSNSで見受けられます。削除やフォーマットされた場合でも、メディアによってはその後のご利用状況によってはデータ復旧が可能です。では、なぜ削除やフォーマットしたデータの復旧が可能なのでしょうか。

削除について

パソコンの場合

パソコンでファイルを削除すると、通常ではファイルがごみ箱に移動されます。この時点では、ごみ箱フォルダを開いてファイルを元の場所に戻すことができますが、「ごみ箱を空にする」を実行するとファイルは完全に消えてしまいます。ただし、HDD搭載のパソコンの場合、削除されたファイルはパソコン上からは見えなくなりますが、実際には記録媒体(HDD)の中にデータの痕跡がまだ残っています。

SSD搭載のパソコンの場合

SSDにはTRIMという機能が備わっています。このTRIMコマンドは、ファイルを削除した際にそのデータが不要であることをSSDに通知し、記憶領域を解放する役割を果たします。 そのため、ファイルを削除した後にTRIMが実行されると、削除されたデータの痕跡が速やかに消去されます。これにより、削除されたファイルが物理的にSSDのメモリセルから消去されるため、従来のHDDと比較してデータ復旧が非常に困難になります。もしくはほとんどの場合不可能となります。   ただし、TRIMが実行される前に削除されたファイルにアクセスすれば、データ復旧の可能性はわずかに残ることもあります。しかし、TRIM機能の特性上、時間が経つにつれて削除されたデータは完全に消去される可能性が高くなります。そのため、SSD搭載のパソコンでファイルを削除した場合、迅速に対応することがデータ復旧の鍵となります。   パソコンのHDD、USBメモリ、デジカメのSDカードなどには、ファイルやフォルダの名前、属性、データを保存している場所を記録する管理領域と、実際にデータが書き込まれているデータ領域があります。

フォーマットについて

ハードディスクやSDカードなどの記憶媒体にデータを書き込む準備をすることを「フォーマット」または「初期化」と呼びます。通常、記憶媒体はフォーマット済みの状態で出荷されるため、使用開始時にフォーマット作業は不要です。しかし、Windowsで使用していたハードディスクをMacで使用する場合や、テレビ録画などの特殊用途に使用する場合にはフォーマットが必要となります。  

ファイルシステムが違うため

日本語で作られたものをそのまま外国人に読んでもらうことは難しいです。そのため、英語に翻訳して販売されます。それと同じようにWindowsで使用していた記憶媒体はMacで使用する場合にMacOSで採用しているものに変換する必要があります。その方法をフォーマットと呼んでいます。  

データが残ることもある

  記憶媒体をフォーマットすると、その中身はすべて消去されて初期状態(データが何も入っていない状態)に戻ります。フォーマットの方法にもよりますが、フォーマット後も管理領域だけを空の状態にし、実際のデータ部分は残ることがあります。   フォーマットの場合、削除とは異なり、管理領域が初期化されるため、ファイル名やフォルダ構造の復元が難しくなることがあります。ただし、ファイルシステムによっては、データの整合性を保つために管理領域の情報が別の領域にコピーされている場合があります。そのため、フォーマットされた場合でもファイル名やフォルダ名などの構造情報を取得できることがあります。   このように、削除した場合と同様に、フォーマットを行った媒体でもデータ領域には実際のデータが残っており、その後利用されていなければデータ復旧が可能な場合が十分にあります。  

スマートフォンにはフォーマットがない

  スマートフォンの場合には、通常のパソコンや外部記憶媒体のような「フォーマット」という操作は存在しません。スマートフォンでは、データの初期化やリセットといった操作が行われます。これらの操作は、スマートフォン内の全データを削除し、出荷時の状態に戻すことを指します。   パソコンや外部記憶媒体でのフォーマットと異なり、スマートフォンの初期化は通常、ファイルシステムの管理領域を初期化するだけでなく、すべてのデータ領域を上書きして消去するため、データ復旧が難しくなります。これは、スマートフォンがより個人情報を含むデータを取り扱うため、データの完全な消去が求められるからです。   ただし、スマートフォンでも一部のデータは削除後に痕跡が残る場合があります。そのため、データ復旧を行いたい場合には電源を切り、可能な限り早くデータ復旧の専門業者に依頼することが必要です。  

完全削除、物理フォーマットについて

  削除やフォーマットの操作ではデータ復旧の可能性がありますが、完全削除や物理フォーマットを行った場合には復旧の可能性はありません。一般的に、WindowsやMacintoshでの削除ではデータが残ることが多いですが、セキュリティ対策ソフトなどで行う完全削除では、データ領域に「00」(ゼロフィル)やランダムなデータを上書き保存します。また、一部のデジタルカメラやビデオカメラでは、削除時にデータ領域全体を上書きする完全削除機能を備えた機種もあります。このような場合、データは完全に上書きされ、以前の痕跡が残らないため、復旧は不可能です。   フォーマットには「クイックフォーマット」と「物理フォーマット」の2種類があります。クイックフォーマットは管理領域のみを初期化しますが、物理フォーマットではデータ領域自体も初期化するため、フォーマットが完了するまでに時間がかかります。物理フォーマット後はデータ領域に痕跡が残らないため、完全削除と同様に復旧は不可能となります。  

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