ハードディスクのデータ復旧には高額な費用がかかることがあります。これはいくつかの理由によるもので、以下にその主な要因を解説いたします。
1. 高度な技術と専門知識
データ復旧は高度な技術と専門知識を必要とします。復旧の過程では、ハードウェアやソフトウェア(OS)の問題を特定し、適切な手段を講じる必要があります。これには、専門知識を持ち経験豊富な技術者が必要であり、その人件費が高額になることが多いです。
2. 専用機器とクリーンルーム
ハードディスクの物理的な障害(例えばヘッドクラッシュやモータの故障)を修復するためには、専用の機器やクリーンルームやクリーンベンチが必要です。クリーンルームは、埃や微小な粒子が一切ない環境で、ハードディスクの内部を開けて作業するために使用されます。このような設備の設置・維持には高い費用がかかります。
3. 時間と労力
データ復旧には時間と労力がかかります。例えば、ハードディスクからデータを復旧するためには、セクタ単位での読み取りや、障害部分を迂回してデータを抽出する必要がある場合があります。これらの作業を担当するエンジニアの拘束時間があり、また、解析をするマシン・設備を占有する必要があります。非常に時間がかかるものの、非常に慎重に作業を行う必要があります。
4. カスタマイズされたソリューション
データ復旧のプロセスは、一台一台のハードディスクに対してカスタマイズされます。ハードディスクのメーカーが違ったり、型番が違うのはもちろん、ハードディスクで使われているチップやプラッタなど同じ製品番号のハードディスクでも細かな部品や提供元が違うことがあります。
5. トラブル障害も異なり・ハードディスクも異なる
認識しない、起動しない、フォーマットしてしまったり、落下させたり、いままで聞いたことのない音がする(異音)するなど障害は様々です。つまるところ、一般的な解決策が存在せず、それぞれの障害に応じた個別のアプローチが必要となります。このカスタマイズには、的確な初期調査と負荷をかけないために慎重に行う必要があります。
6. 保存データの形式、種類も異なる
データが壊れていることもしばしばありますが、保存されているデータやファイルの種類も異なります。ファイルシステムも異なれば、拡張子も異なり、あらゆるものが異なり、非常に複雑でまったく同じことがありません。そのため、あくまでも傾向として似ている障害はあり、それらの復旧率が90%が超える、などがあることにはあるかもしれませんが、必ず復旧しない、復旧率100%が存在しないのはそのためです。
7. 成功報酬制のリスクとデータ復旧サービス提供責任
データ復旧会社は、非常に重要なデータを取り扱うことが多く、その成功率が非常に重要です。失敗した場合のリスクは大きく、データ復旧サービスには高い責任が伴います。これもコストに反映される要因の一つです。ほとんどの事業者が成功報酬制を採用していますが、復旧しない方やキャンセルする方のコストは復旧して発注する方がすべて負担する必要があります。逆にデータ復旧サービスによってデータを受け取った方が代償を支払わないとデータ復旧サービスは存続しえないとも言えます。
8. 市場の需給
緊急のデータ復旧サービスが必要な場合には、追加の費用が発生することがあります。また、明日にでもデータが必要であるという緊急性の高い顧客が市場に存在しています。そのため、データ復旧サービスはあらゆる需要にこたえるために緊急対応サービスを提供する体制を用意しておかなければなりません。急いでいない方もいらっしゃいますが、納期を急いでいる方もいるというさまざまなニーズに応える必要があります。
9. セキュリティ
保存されているデータは経営上の重要な資料・ファイルが入っていたり、プライベートの家族写真、お子様の成長記録などさまざまなデータがあります。それらは情報漏洩することがあったらサービスの利用を安心することは難しいのではないでしょうか。そのため、第三者の認証機関のセキュリティの認証規格の取得や維持のコストがあります。技術力の高いデータ復旧サービスではISMSやPマークなどの認証を取得しています。
まとめ
ハードディスクのデータ復旧に高額な費用がかかる理由は、高度な技術と専門知識、専用機器やクリーンルームの必要性、時間と労力の投入、カスタマイズされたソリューションの必要性、リスクと責任、市場の需給、セキュリティを強化することによる情報漏洩対策など、さまざまな要因によるものです。これらの要因が組み合わさることで、データ復旧の費用は高くなります。