スマートフォンのよくある障害|データ復旧
物理的な損傷を受けたスマートフォンからのデータ復旧は、困難な作業を伴います。そのため個人の方がどうにか分解・修理ができるものではなく、専門的な知識と経験、技術力や設備によってはじめてデータの復旧ができるようになります。デバイスの状態と損傷の程度によって、復旧難易度は異なりますが、専門家であっても実際に壊れたスマートフォンを診てみなくてはわかりません。
どのようにすればデータ復旧が成功するのか、失敗しないためには何をしてはいけないのかを解説させていただきます。
本体の損傷
スマートフォンの画面が割れた場合、タッチ不良・画面が真っ暗なだけで、まだデバイス自体が機能している可能性があります。この場合、まず別のディスプレイ(モニター)やテレビにスマートフォンを接続することで端末内部のデータが閲覧できる場合があります。デバイスのデータにアクセスできる場合、USBケーブルまたはBluetoothを介して転送することでデータをバックアップすることができるかもしれません。ただし、ご自身でできる対処は以下の3つの対処方法です。それ以上は状態が悪化する可能性があるので、専門家にご相談なさることをおすすめします。
データバックアップができない場合
自己修理やデータ復旧の試みは、損傷をさらに悪化させる可能性があるため、慎重に作業を行うことをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、最良のアプローチを取ることが可能です。専門家の助けを求めることをおすすめします。また、データの重要性に応じて、定期的なバックアップの重要性を再確認してください。バックアップは、データの損失を最小限に抑えるための最良の防御策です。
①クラウド同期を確認
スマートフォンが物理的に損傷している場合でも、データがクラウドに同期されている可能性があります。例えば、Googleアカウントを使用している場合は、GoogleドライブやGoogleフォトにデータがバックアップされているか確認なさることをおすすめします。または、Appleの場合はiCloudにデータがバックアップされているかもしれません。デバイスの新しいスマートフォンやコンピューターにログインして、同期されたデータにアクセスできるか確認してください。
②SDカードやSIMカードの確認
スマートフォンにSDカードやSIMカードが挿入されている場合、これらのカードを取り外して別のデバイスに接続してみてください。データがカードに保存されている場合、別のデバイスでアクセスできるかもしれません。SIMカードに保存されているかどうかがよくわからない場合には契約先のキャリアに相談をなさることも1つの方法です。
③別のパソコンで試す
別のパソコンにスマートフォンを接続してみてください。異なる環境で接続することで、デバイスとの通信が可能になる場合があります。
データ復旧の専門家の助けを求める
上記の対処をご自身で試しても改善しない場合にはスマートフォンが物理的に非常に損傷しており、バックアップや他の方法でデータにアクセスできません。そのため、専門のデータ復旧サービスに相談することが重要です。彼らは高度な技術や設備を持っており、物理的な損傷からデータを回復するための手段を提供しています。
データの損失を受け入れる
残念ながら、スマートフォンが物理的に損傷し、データを回復できない場合もあります。このような場合、データの損失を受け入れるしかありません。今後のために、定期的なバックアップの重要性を再確認し、データを失うリスクを最小限に抑えるためにバックアップを習慣化することをおすすめします。
電源故障が原因の場合
スマートフォンの電源が入らない場合、まずはメーカーや販売店に相談されることをおすすめします。公式ウェブサイトやカスタマーサポートページを参照することをお勧めします。通常、スマートフォンメーカーのウェブサイトのフッター部分や「お問い合わせ」または「サポート」のセクションに連絡先情報が記載されています。また、スマートフォンの取扱説明書や保証書にも連絡先情報が記載されている場合があります。
データ復旧の専門家の助けを求める
スマートフォンが物理的に損傷しており、バックアップや他の方法でデータにアクセスできない場合は、専門のデータ復旧サービスに相談することが重要です。彼らは高度な技術や設備を持っており、物理的な損傷からデータを回復するための手段を提供しています。ただし、電源が入らない、立ち上がらないスマートフォンのデータ復旧サービスは一般的に高額な料金がかかる場合があります。
バッテリー交換をする
バッテリーの交換や修理が必要になる可能性があります。バッテリーの交換後、スマートフォンを起動してデータにアクセスできるかどうか確認します。メーカーによるバッテリー交換となるとデータの初期化は避けることができないため、データが消失します。デバイスが起動しない場合は、データ復旧の専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。
【注意】バッテリー交換の注意点
スマートフォンの電池はリチウムイオン電池です、発火の可能性もありますので、安全に取り扱う必要があります。バッテリーは高温や短絡により発火や爆発する可能性があるため、慎重に取り扱う必要があります。適切な安全装置を使用し、安全な環境で作業することが必須条件です。また、バッテリー交換はデバイスの正常な動作とデータの保護に関わる重要な作業です。安全性とリスクを最小限に抑えるために、信頼できる修理サービスに相談することをおすすめします。
無資格者・初心者の修理による損失
バッテリー交換は正確な手順と適切な工具を使用して行う必要があります。初心者の方が修理を試みると、デバイスへのさらなる損害や処理速度の悪化、バッテリー持ちの悪化などのパフォーマンスの問題を引き起こす可能性があります。デバイスメーカーの公式修理サービスや信頼できる修理業者(登録修理業者)に頼むことをおすすめします。
保証の無効化
デバイスの保証がまだ有効な場合、自分でバッテリーを交換すると保証が無効になる可能性があります。そのため、デバイスメーカーの保証ポリシーを確認し、保証が失効する可能性について理解しておくことが重要です。
互換性の問題
非公式なバッテリーを使用する場合、デバイスとの互換性に問題が生じる可能性があります。互換性のないバッテリーを使用すると、パフォーマンスの低下やバッテリーの劣化、さらなる損傷のリスクがあります。公式のバッテリーを入手し、デバイスとの互換性を確保することが重要です。そのため、基本的にメーカーやメーカー公式パートナーによる修理サービスを受けることをおすすめします。
基板故障の有無は診断で判明
スマートフォンの基板が故障しているかどうかは電源が入らないかどうか画面に表示が正常にされないかどうかを基準に判断することはできません。専門家が実際に診断することでしか損傷を把握することができませんし、基板修理はデータ復旧の工程の中の1つの手段でしかありません。基板はデバイスの中心部であり、データが保存される場所でもあります。そのため、高度な専門知識と技術を必要としますが、成功する保証はありません。
水没や水濡れなどの損傷の場合
スマートフォンが水没したり、物理的な衝撃を受けたりした場合、内部の回路やコンポーネントが損傷する可能性があります。これにより、データへのアクセスが制限されるか、データ自体が破損してしまうことがあります。一般的に、水没したスマートフォンの場合、専門のデータ復旧サービスに連絡して、デバイスを専門家が分解・乾燥させ、データの回復を試みることができます。
よくある水没する状況
どのような水没の仕方であっても、データ復旧の可能性はあります。水没した場合にはできるだけ早い対応をすることでデータ復旧の確率を高めることができます。ただし、ほんの少しの水濡れ程度であってもデバイスの損傷の程度はわかりませんので、一度診断してもらうことをおすすめします。
雨天での使用
スマートフォンを雨の中で使用している場合、雨粒がデバイスに直接当たり、内部に浸入する可能性があります。この場合でもデータ復旧の専門家であれば対応可能です。
水中での使用
スマートフォンをプールやお風呂の浴槽などの水中で使用している場合、水がデバイスに浸入する可能性があります。この場合でもデータ復旧の専門家であれば対応可能です。
海やプールでの水中撮影
スマートフォンで水中撮影を行う場合、水がデバイスに浸入する可能性があります。特に防水性能のないデバイスでは注意が必要です。この場合でもデータ復旧の専門家であれば対応可能です。
トイレや洗面台に落下
スマートフォンを使用中に手元から滑り落ち、トイレや洗面台などの水の中に落ちる可能性があります。この場合でもデータ復旧の専門家であれば対応可能です。
水の近くでの取り扱い
水辺でのアクティビティ(例: ビーチ、川岸、船上)や水を使うスポーツ(例: カヌー、サーフィン)など、水の近くでスマートフォンを取り扱う際にも水濡れや水没のリスクがあります。この場合でもデータ復旧の専門家であれば対応可能です。
誤った保護ケースや防水ケースの使用
適切な保護ケースや防水ケースを使用せずに、水中や水の近くでスマートフォンを使用すると、水がデバイスに浸入する可能性が高まります。この場合でもデータ復旧の専門家であれば対応可能です。
スマートフォンのデータを削除した場合
一般的に、スマートフォンから削除されたデータを復旧することは困難です。ただし、いくつかの要素に注意する必要があります。
時間経過
データを削除した後、時間が経つほどデータの復旧が難しくなります。削除されたデータの上書きや物理的な損傷が発生する可能性があります。早急な対応が重要です。
ファイルの種類
復旧可能だとしてもデータの種類によって異なります。一部のファイルタイプ(写真、ビデオ、音声、ドキュメントなど)は復元ができる場合もありますが、他のファイルタイプ(システムファイル、アプリデータなど)はより困難な場合があります。
ルートアクセス
Androidデバイスの場合、ルートアクセス(root化)がデータ復旧の方法の1つでした。しかしながら、最近のデバイスの場合にはその限りではなくルート化してもデータ回復する可能性は低いです。また、ルート化はデバイスの保証を無効にする可能性がありますし、誤った手順で行うとデバイスにさらなる損傷を与える恐れがあります。最後の手段として考えて作業する必要があります。
バックアップの有無
データ削除前に、事前にバックアップを作成していた場合は、バックアップからデータを復元することが可能です。定期的なバックアップはデータ損失を防ぐために重要です。
初期化した場合
スマートフォンを初期化すると、デバイス内のデータは完全に消去されます。したがって、通常の手段では初期化後のデータ復旧は困難です。初期化によりデータが上書きされてしまうため、復元することは非常に困難です。しかし、いくつかの例外的な状況では、初期化後にデータを回復する可能性があります。これには以下のような場合が該当します。誤って初期化してしまった場合にもスマートフォンが初期化された状態であればデータ復旧の可能性は極めて低いですし、復旧できるとしても数十万円以上の高額な料金となることが想定されます。
バックアップ
初期化する前にバックアップを取得していた場合、初期化後にバックアップからデータを復元することができます。iPhoneであればiTunes、AndroidOS搭載のスマートフォンであればGoogleドライブなどのバックアップツールにデータがある場合があります。
クラウド同期
スマートフォンがクラウドサービスと連携しており、データがオンラインで保存されている場合、初期化後にデータを再同期することができるかもしれません。ただし、完全に同期している場合には初期化した時点ですべて消失することになりますので、ご注意ください。
まとめ
データ復旧の試みはデバイスの損傷状態を悪化させる可能性があるため、データの重要性に応じて慎重に行う必要があります。物理的な損傷がある場合は、専門のデータ復旧サービスに相談することが最善の選択です。彼らは高度な技術と設備を持ち、データの回復を試みることができます。